特集 長引く咳
[慢性咳嗽各論]
咳と結核
藤野 忠彦
1
,
阿部 良行
2
1国立療養所神奈川病院
2国立療養所神奈川病院呼吸器科
キーワード:
結核菌
,
乾酪性壊死物質
,
喉頭結核
,
気管・気管支結核
Keyword:
結核菌
,
乾酪性壊死物質
,
喉頭結核
,
気管・気管支結核
pp.1024-1027
発行日 2003年12月1日
Published Date 2003/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100752
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明治・大正・昭和時代の文学には結核を題材にしたものが多い.「風立ちぬ」の作者堀辰雄は,次のような詩の一節を残している.
僕の骨にとまってゐる
小鳥よ 肺結核よ
おまへが嘴で突つくから
僕の痰には血が混じる
おまへが羽ばたくと
僕は咳をする
おまへを眠らせるために
僕は吸入器をかけやう
ここに掲げた詩は,「咳」を考えるうえで実に含みが多い.咳嗽は気道に対する何らかの刺激で生じるものである.タバコの煙のような単に気道粘膜に対する刺激である場合もあるが,多くは喀痰である.喀痰は気道や末梢の肺胞で生じた液性物質で,多くは炎症により生じたものである.このようにして咳嗽は出るから,その際の喀痰検査をすれば咳嗽の病因を調べることができる.
咳嗽が出たからといってすべてが結核ではないが,結核の診断の遅れを防ぐために,結核を鑑別診断に入れることは忘れてはならない.
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