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Q1 急性肝炎回復期の日常生活上の注意について教えてください.
A A型肝炎やB型急性肝炎は慢性化することなく治癒するため,肝機能が十分改善した(例えばALTが100 IU/l未満に低下した)段階では,通常の生活をして差し支えない.ただし,肝機能の改善を妨げると思われる飲酒,運動などは肝機能が正常に回復するまで止めたほうがよい.一方,C型急性肝炎はその8割前後が慢性化するため,肝機能が改善しているようにみえても,HCV-RNAも含めて総合的に判断する必要がある.慢性化が疑われる場合は,発症4~6カ月後時点を目安にインターフェロン治療を行う.
(四柳 宏→本号p674)
Q2 HBVによる急性肝炎の遷延化について教えてください.
A 一般にはHBVによる成人の急性肝炎は治癒すると考えられているが,稀に遷延化する例があることが最近指摘されている.すなわち,ジェノタイプA型は慢性肝疾患では稀とされているが,急性肝炎では少なからずみられており,このジェノタイプA型が遷延化することが指摘されている.またさらには,ジェノタイプA型に限らず急性肝炎の極期にプレドニゾロンやグリチルリチン製剤の投与により,免疫が抑制されウイルスの排除が遅れて遷延化する例も存在する.また,注意すべき鑑別診断として,無症候性キャリアの急性発症がある.発症まで自分自身がHBキャリアであることに気づいていない人が時々みられ,ALTの急上昇で初めて病院を訪れるような患者がいることである.この例では,もともとキャリアなので当然遷延化したようにみえる.こういった例を鑑別していくうえでも,家族歴の問診,ジェノタイプ,IgMクラスのHBc抗体などを測定し,総合的に判断していく必要がある.
(折戸悦朗→本号p676)
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