特集 Generalistのための糖尿病診療10カ条
α-グルコシダーゼ阻害薬の作用機序と使い方
遅野井 健
1
1那珂クリニック
キーワード:
α-グルコシダーゼ阻害薬
,
食後血糖
,
インスリン追加分泌
,
肝機能障害
,
消化器症状
Keyword:
α-グルコシダーゼ阻害薬
,
食後血糖
,
インスリン追加分泌
,
肝機能障害
,
消化器症状
pp.601-604
発行日 2003年7月1日
Published Date 2003/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100652
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近年,厳格な血糖コントロールによって糖尿病性合併症の発症・進展が防止される可能性や,大血管障害(動脈硬化症)と食後血糖の密接な関連性などが明らかになり1),血糖プロフィール全体の正常化が糖尿病患者の血糖コントロール目標となってきている.そこで,空腹時血糖や平均血糖に加えて食後血糖への十分な配慮が求められ,糖尿病患者の特徴である摂食負荷による著明な血糖変動の縮小や,食後一過性の高血糖が特徴の軽症糖尿病への介入法についての関心が高まっている.従来,これら食後の状態へは,単純糖質の制限や食物繊維の摂取をはじめとした食事療法や運動療法の徹底などで対処されてきた.しかしながら,これらの臨床効果は十分でなく,自己規制を強いる患者指導によって治療中断に至ることも少なくなかった.
α-グルコシダーゼ阻害薬(以下,α-GI)は,インスリン分泌を促進せずに食後状態を改善する薬剤であり,軽症例でも低血糖の危険性は少なく,1型糖尿病の食後過血糖にも有用で,体重増加をきたしにくいことや,脂質代謝の改善さらにはインスリン抵抗性の改善効果なども認められ,動脈硬化症リスクファクターへの好影響が期待されている2).以上のことから,α-GIは幅広い糖尿病患者に対して積極的介入を行う際の基本的薬剤となってきている.
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