特集 いま,内科薬はこう使う
代謝・栄養障害薬
α-グルコシダーゼ阻害薬
森 豊
1
1東京慈恵会医科大学附属柏病院糖尿病・代謝・内分泌内科
キーワード:
グルコバイ
,
ベイスン
,
セイブル
Keyword:
グルコバイ
,
ベイスン
,
セイブル
pp.320-323
発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402106453
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α-グルコシダーゼ阻害薬がなぜ必要なのか?
UKPDS試験により,HbA1cの低下は細小血管障害の発症抑制に寄与するものの,HbA1cの低下のみでは大血管障害は必ずしも抑制できないことが明らかになった.その要因の1つとして,HbA1cでは捉えられない血糖の変動が関与していると考えられている.さらに,ACCORD,ADVANCE,VADT試験では,HbA1cによる厳格な血糖コントロールにもかかわらず有意な心血管イベント抑制効果は認められなかった.さらに,冠動脈疾患既往例を多く含んだACCORD試験に至っては,重篤な低血糖を多数引き起こし,死亡率の上昇につながった.すなわち,「食後高血糖」や「低血糖」といったHbA1cでは捉えられない血糖変動を制御することが,心血管合併症発症阻止を見据えた糖尿病治療には不可欠であり,食後血糖改善薬に位置付けられるα-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI)の担う役割は大きいものと考えられる.
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