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第6章 代謝系に作用する薬剤
[糖尿病治療薬]
α-グルコシダーゼ阻害薬
柱本 満
1
1みつるクリニック 糖尿病代謝内科
pp.821-826
発行日 2023年4月1日
Published Date 2023/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika131_821
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・α-グルコシダーゼ阻害薬(α-glucosidase inhibitor)は主に上部小腸で二糖類分解酵素を阻害して二糖類から単糖類への分解を抑制する.本剤服用により食後の糖類吸収が上部小腸だけでなく小腸全体に及んで行われ,食後血糖値の上昇が緩やかで血糖値低下に時間がかかり,その結果血糖ピーク値の低い曲線が得られる.本剤のもつ食後血糖低下作用により,心血管イベントリスク低下やIGTからの糖尿病発症抑制がもたらされることが大規模臨床御試験で示されている.
・本邦では,α-グルコシダーゼ阻害作用のみをもつvogliboseとmiglitol,α-アミラーゼ阻害作用ももつacarboseの3種類が使用できる.vogliboseとacarboseはほとんど吸収されずそのまま排泄されるが,miglitol は上部小腸で吸収されるなど性質が違うため,それぞれの食後血糖上昇下降のプロフィールは若干異なる.
・α-グルコシダーゼ阻害薬は原則として毎食直前の服用が必要であるが,2型のみならず1型糖尿病にも使用可能である.またvoglibose 0.2mg製剤は高リスクIGT患者の糖尿病発症予防目的での使用も可能となっている.
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