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Case
少量のSU薬とBG薬の併用にて,体重増加をきたさず血糖コントロール良好な2型糖尿病の1例
患 者:56歳,男性.
既往歴:44歳より高血圧症にて加療中.
家族歴:特記事項なし.
現病歴:約10年前より職場検診にて血糖高値を指摘され,近医にてグリベンクラミド2.5 mgによる内服治療を開始されたが,食事・運動療法は行っていなかった.その後,食事不摂生による体重増加(身長172 cm,体重80 kg,BMI 27)に伴い,空腹時血糖176 mg/dl,HbA1c 8%台と血糖コントロールが悪化,アクトス(R)30 mgを追加されHbA1c 6.1%まで改善した.しかし,体重が82 kgと増加傾向になり,平成13年教育入院目的で当科を紹介された.教育入院へ参加し,アクトス(R)をグリコラン(R)(250 mg)2T 2回へ変更した.その後,外来通院中であるが,グリベンクラミド2.5 mgをグリクラジド20 mgへ変更し,体重は76 kgで維持され,HbA1c 6%以下で経過している.
治療薬としての歴史と背景
ビグアナイド薬の歴史は古く,中世ヨーロッパで糖尿病の薬として用いられたフレンチライラックに始まる.後にこの植物に含まれるグアニジン(guanidine)が血糖降下作用を有することがわかり,この骨格を2つ有するビグアナイドが開発された.ビグアナイド薬のフェンホルミン,ブホルミン,メトホルミンは,1950年代に2型糖尿病の治療薬として臨床応用された.しかし,1970年代に主にフェンホルミンによる致死的な乳酸アシドーシスの副作用が相次ぎ,多くの国でフェンホルミンの使用が中止された.脂溶性の低いメトホルミンは,乳酸アシドーシスの危険性が比較的低いと考えられ,ヨーロッパなどで細々と使用されていた.
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