特集 悪心・嘔吐へのアプローチ
【症例から学ぶ悪心・嘔吐へのアプローチ】
嘔吐と精神症状をきたした71歳男性
細江 雅彦
1
1武儀町国民健康保険診療所
キーワード:
軽度意識障害
,
脳血管障害
,
嘔吐中枢
,
前頭葉内側部
,
帯状回前部
Keyword:
軽度意識障害
,
脳血管障害
,
嘔吐中枢
,
前頭葉内側部
,
帯状回前部
pp.508-510
発行日 2003年6月1日
Published Date 2003/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100629
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症例呈示
患 者:71歳,男性.
既往歴:脳梗塞(69歳時),パーキンソン症候群.
嗜 好:日本酒2合/日.
家族歴:特記すべきことなし.
現病歴:患者は高血圧症,脳梗塞後遺症,パーキンソン症候群(振戦,軽度歩行障害)にて診療所に通院中で,2002年6月20日に,前々日から繰り返す嘔吐を主訴に来院.夕食中,口囲にご飯をつけていつもとは違ったおかしな動作仕草がみられ,昨日は草刈りをしていたが,吃逆を頻回にするようになったという.来院時の朝は3回ほど嘔吐したというが,いつもと変わらずただ言葉数が少ないかなという印象があった.自分で歩いて診察室に入ってきて,問診において会話はでき,こちらの要求,指図に従い答えていた.血圧116/80 mmHg,脈拍・呼吸に乱れなし.胸部聴打診にては異常なく,腹部所見においても,腸蠕動音は正常,圧痛なく,腫瘤なく,鼓音正常であった.神経学的には項部硬直なく,四肢の運動障害なく,継ぎ足歩行もできた.振戦がみられたが,以前から認められる所見であった.腹部に細かい小発赤皮疹(周囲は白色調)がみられた.紫斑ではなかった.胃炎かと説明して,点滴をして鎮吐剤の注射と座薬を処方し,経過をみるように指示して帰宅させた.食事時の動作がおかしいことについては,以前に脳梗塞の既往もあるため,それが関係しているのかなと思いながら,いずれ脳MRIを撮りその程度を確認しましょうと説明した.
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