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クリプトスポリジウム症の集団発生例と診断のための検査法
山本 徳栄
1
,
羽賀 道信
1
1埼玉県衛生研究所
キーワード:
Cryptosporidium parvum
,
クリプトスポリジウム症
,
水系感染
,
検査法
Keyword:
Cryptosporidium parvum
,
クリプトスポリジウム症
,
水系感染
,
検査法
pp.1678-1681
発行日 1997年11月15日
Published Date 1997/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903577
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はじめに
クリプトスポリジウム症(cryptosporidiosis)は,胞子虫綱のアイメリア亜目に属するCryptosporidium parvumという原虫の感染による,激しい水様性の下痢と腹痛を主徴とする人畜共通感染症である.C.parvumの宿主はヒトをはじめウシ,ヒツジ,ブタ,イヌ,ネコ,ネズミなど幅広く宿主特異性は低い.寄生部位は腸管粘膜上皮細胞の微絨毛内であり,有性生殖と無性生殖を繰り返しながら激しく増殖する1,2).有性生殖で形成された莫大な数のオーシスト(oocyst)が糞便とともに排出され,これが環境を汚染し感染源となる.オーシストは塩素剤など消毒薬にきわめて強く,通常の使用濃度では不活化されない3).そのため,欧米では水道水,公共のプール,モーテルのプールや公園の池の水を介してクリプトスポリジウム症の集団感染が多数発生している4).日本では1994年に神奈川県内の雑居ビル内で5),そして1996年には埼玉県内で大規模な集団発生が起こっている6).
本稿では埼玉県における事例の概要とC.par-vumの検査方法の要点について述べる.
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