特集 いま日常診療で注目すべき原虫症・寄生虫症
トキソプラズマ症
前田 卓哉
1
,
竹内 勤
1
1慶應義塾大学医学部熱帯医学・寄生虫学
キーワード:
髄膜脳炎
,
網脈絡膜炎
,
脳内石灰化
,
免疫不全
,
HIV/AIDS
Keyword:
髄膜脳炎
,
網脈絡膜炎
,
脳内石灰化
,
免疫不全
,
HIV/AIDS
pp.214-216
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100556
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Case
髄液PCRで陰性であったが,抗トキソプラズマ療法で病変の縮小をみた1例
患 者:66歳,男性.
主 訴:発熱,意識障害,左不全麻痺.
現病歴と臨床経過:造影CTにて,右基底核に造影効果のあるリング状陰影を認める.初診時HIV抗体陽性.CD4細胞数46/mm3であった.Tp抗体陽性.EBV抗体陽性.髄液細胞診では悪性所見なく,髄液EBV-PCRは陰性であった.トキソプラズマ症が疑われ,髄液PCRを実施するも陰性.診断的治療目的でピリメサミン+サルファジアジン投与.症状は軽減し,画像的に病変の縮小をみた.6週間の治療後,バクタ内服に変更し,予防目的にて継続投与している.
概 念
細胞内寄生原虫であるToxoplasma gondii(T.gondii)はネコを終宿主とし,その腸管上皮細胞内で有性生殖を繰り返す.その一部は,やがて感染性のオーシスト(J1)として糞便中に排泄され,次の終宿主への感染を待つ.終宿主であるネコが再度このオーシストを摂取した場合,再び腸管上皮細胞内で有性生殖を繰り返すが,非終宿主では経過が異なる1).
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