Japanese
English
特集 消化管感染症のすべて2025
Ⅳ.回盲部・大腸・肛門
(B)寄生虫感染症
クリプトスポリジウム感染症
Cryptosporidiosis
森田 拓
1
,
成富 文哉
3
,
吉山 貴之
4
,
島松 一秀
2
,
荒木 俊博
1
Taku MORITA
1
,
Fumiya NARITOMI
3
,
Takayuki YOSHIYAMA
4
,
Kazuhide SHIMAMATSU
2
,
Toshihiro ARAKI
1
1大牟田市立病院内科・消化器内科・内視鏡内科
2大牟田市立病院病理診断科
3九州大学病院病理診断科・病理部
4九州大学病院消化器・総合外科
キーワード:
クリプトスポリジウム
,
Cryptosporidium parvum
,
水様性下痢
Keyword:
クリプトスポリジウム
,
Cryptosporidium parvum
,
水様性下痢
pp.237-240
発行日 2025年12月24日
Published Date 2025/12/24
DOI https://doi.org/10.24479/endo.0000002399
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疾患の概要
クリプトスポリジウム症は激しい水様性下痢を主症状とする人畜共通感染症で,5類感染症に指定されている。Cryptosporidiumは,マラリア原虫やトキソプラズマと同じアピコンプレックス門に属する細胞内寄生性原虫であり,腸粘膜上皮細胞の微絨毛内に寄生し,無性生殖と有性生殖を繰り返しながら増加する。糞便中に一部排出されるオーシストによるウシ・ブタ・イヌ・ネコ・ネズミなどの動物を介しての感染や,オーシストは塩素に耐性をもつため,プールや汚染された水道水・食物の経口摂取で感染を起こす。耐塩素性は非常に強く,浄水場やプールで使用される塩素濃度ではまったく不活化されない。また,オーシストの壁は化学物質の透過性が非常に悪いため,病院で通常使用される各種消毒薬にも強い耐性を示すが,70℃以上の加熱や乾燥では容易に死滅する。人に感染するのはおもにCryptosporidiumparvumおよびC. hominisの2種である1)。旅行者下痢症の原因原虫としても有名であるが,通常,健常人では潜伏期間7日程度(2〜7日)で1日20行の激しい水様下痢,腹痛,嘔吐を伴うが下血は認めない。1週間から10日程度で自然治癒することが多いが,高齢者や後天性免疫不全(AIDS)患者・免疫抑制療法を受けているような免疫不全状態の宿主においては下痢が長期化・重症化し致死的になる。HIV感染者ではCD4+T細胞が100個以下の患者では重症化するため,本症はAIDS診断の指標疾患の一つとされる2)。

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