編集者への手紙
下痢を起こすクリプトスポリジウム
山田 誠一
1
,
友田 弥里
1
,
モアゼムホセイン モハメッド
1
,
月館 説子
1
,
藤田 絋一郎
1
1東京医科歯科大学医動物教室
キーワード:
下痢
,
クリプトスポリジウム
,
人畜共通感染症
,
水系感染症
Keyword:
下痢
,
クリプトスポリジウム
,
人畜共通感染症
,
水系感染症
pp.113-114
発行日 1997年1月15日
Published Date 1997/1/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903229
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1.はじめに
1996年夏,下痢の集団発生の原因になった病原性大腸菌O157:H7は全国的に大問題となり,指定伝染病の指定まで受ける事態になった.1992年11月に発行された『東京都感染症マニュアル』にはすでにO157:H7は記載されているが,今回は,発症患者数が空前の規模となり,下痢もあなどれない感染症であることを改めて思い知らされた.O157以外にも本年6月には埼玉県越生町で水道水に混入した原虫"クリプトスポリジウム"が原因とみられる下痢症の集団発生があった.下痢はいろいろな微生物が原因で発症する.原因になる原虫には,赤痢アメーバ,ヒトブラストシスチス,ランブル鞭毛虫,戦争イソスポーラ,大腸バランチジウム,クリプトスポロジウムなどがある.これらの原虫の中には日本の経済規模が拡大して,海外との交流が盛んになったことで,日本国内に持ち込まれるようになった原虫も多くなっている.
このたび中米のコスタリカの首都サンホセの某病院の受診者(現地人)の糞便を検査する機会があったので,その結果とともに若干の考察を加え,報告する.
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