特集 アレルギーの臨床―第一線での診断と治療
アレルギー児を減らすための妊婦指導
篠原 示和
1
,
松本 健治
2
1国立成育医療センターアレルギー科
2国立成育医療センター免疫アレルギー研究部
キーワード:
胎児アレルギー
,
受動喫煙
,
ダニ抗原
,
食物抗原
,
プロバイオティクス.
Keyword:
胎児アレルギー
,
受動喫煙
,
ダニ抗原
,
食物抗原
,
プロバイオティクス.
pp.150-153
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100542
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Case
胎児のアレルギー疾患発症予防を相談してきた妊婦の1例
患 者:妊娠16週,26歳,女性.
既往歴:小児期に気管支喘息.
家族歴:夫は健康.子どもは女児1名(3歳),食物アレルギーで食物除去中.
現病歴:胎児のアレルギー疾患の発症予防として,母親が妊娠中から食物除去を行うべきか相談を受けた.妊娠中における児のアレルギー疾患の発症予防の対策として,妊娠中の特定の食品の除去は有効でないが,妊娠中から受動喫煙を避けること,および環境中のダニ抗原の除去を行うことは有効であると指導した.
ここ20~30年の間,とくに先進工業国や西洋型の生活様式の諸国において,アトピー体質の頻度やアレルギー疾患の罹患率が急激に増加している(図1)1).本邦においても同様の傾向であり,かつ少子化が進んでいることから,妊婦が,生まれてくる児のアレルギー疾患の発症の予防を望むニーズは,確実に増加していると考えられる.しかし,現時点では,妊婦にできるアレルギー疾患の発症予防に関する報告は限られている.
アレルギー疾患は,遺伝的要因および環境因子の影響により発症する,すなわち多因子疾患として知られている(アレルギー疾患の発症,J1).遺伝的要因は不変のため,アレルギー疾患の発症予防のストラテジーとしては,環境因子を詳細に検討することにより,発症の促進因子を避ける,もしくは抑制因子を推進するといった方法が考えられる.本稿では,エビデンスに基づいたアレルギー疾患の発症予防を目的とした妊婦指導についての現状を述べる.
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