特集 アレルギーの臨床―第一線での診断と治療
アレルギー疾患の漢方療法
酒井 伸也
1
,
寺澤 捷年
1
1富山医科薬科大学医学部和漢診療学講座
キーワード:
和漢薬
,
漢方療法
,
アレルギー性鼻炎
,
アトピー性皮膚炎.
Keyword:
和漢薬
,
漢方療法
,
アレルギー性鼻炎
,
アトピー性皮膚炎.
pp.154-157
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100543
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Case
本治療法がうまくいった症例
患 者:43歳,女性.
現病歴:1995年の春より,花粉症.抗アレルギー剤などで加療されていた.症状は年々増悪.前年有効であった薬剤が,翌年には無効となってしまうため,不安をおぼえて漢方治療を希望し,2001年5月当科を受診.また,頭痛のため鎮痛剤をしばしば服用していた.初診時より柴胡桂枝乾姜湯を処方.2週間の内服で頭痛が消失.体調良好となる.2002年2月ごろより花粉症の症状が軽度出現.小青竜湯エキス2.5 g・麻黄附子細辛湯カプセル2capを朝一回内服.2002年の春はほとんど症状なく,抗アレルギー薬なども一切使用しないで過ごせた.
花粉症をはじめとするアレルギー疾患は,日常よく遭遇する疾患である.さまざまな薬物が開発されているが,それだけでは満足が得られず当科を受診する患者さんも多い.これらの患者さんが,当科を受診する理由は大きく分けて以下の3つに集約される.①対症療法への不満,②ステロイド剤を使用することに対する不安感,③十分な効果が得られていない.
これらの要求をもった患者さんに,必要最低限の西洋薬を併用しながら,漢方治療を施していくことは,非常に有用なことであると思われる.漢方療法では,現在出現している症状に対する標治療法と,根本的に体質を改善し症状を発現しにくくするという本治療法という考え方がある.これらをうまく使い分けることが,アレルギー疾患の漢方療法のポイントである.以下,アレルギー疾患の漢方療法について,とくにアレルギー性鼻炎,アトピー性皮膚炎に絞って概説する.
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