特集 アレルギーの臨床―第一線での診断と治療
アレルギーの臨床に必要な免疫学の基礎
中島 泉
1
1名古屋大学大学院医学研究科・医学部免疫学教室
キーワード:
アレルギーの概念
,
IgE抗体
,
IgG抗体
,
T細胞
,
Th1/Th2.
Keyword:
アレルギーの概念
,
IgE抗体
,
IgG抗体
,
T細胞
,
Th1/Th2.
pp.106-110
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100532
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「アレルギー」の概念は,19世紀の末に,個体を感染症から防御するしくみとしての「免疫」の概念が確立されたのを受けて,20世紀初頭に,PortierとRichet(1902)がこれと相反する働きとしてアナフィラキシーの現象を発見したことにはじまる.その後,当時よく用いられたジフテリアの血清療法の副作用である血清病の原因が抗原抗体反応によることをつきとめたPirquetによって,共通のしくみをもつ免疫と過敏反応を総称する「アレルギー」の用語が提唱され,時代の流れとともに「アレルギー」を「生体に障害を与える過敏反応」に限定して用いることとなったものである.
花粉,食物,薬物,昆虫毒,動物のフケ,微生物など,いくつもの外来の物質がアレルゲンとして,さまざまな病型のアレルギーを誘導する.CoombsとGell(1963)は,レアギン(IgE抗体)によって媒介される病型をⅠ型,IgG, IgM抗体の直接的な細胞障害活性によって引き起こされる病型をⅡ型,免疫複合体(immune complex:IC)によって誘導される病型をⅢ型,そしてT細胞が中心的な働きをして誘起される病型をⅣ型と命名した.この分類で,Ⅱ型の中で細胞表面のホルモンや神経伝達物質の受容体が標的となる病型をⅤ型とする場合もある.
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