患者の論理・医者の論理[25]
医療と宗教―祈りと援助
新保 卓郎
1
1京都大学医学部附属病院総合診療科
pp.510-512
発行日 2005年6月1日
Published Date 2005/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100508
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Case
最近,筆者はある方から相談を受けた.60歳になるその方の姉が乳癌になり,多発転移があるという.しっかりとした病院で治療を受けており,主治医もよく説明してくれて信頼できるという.ただ予後が必ずしもよくないことを聞いている.いろいろと漢方などはすでに試しているらしい.この方の疑問は,「本をいろいろ読んで調べてみると免疫療法が効くというが,この治療は本当に有効か?」,というものである.乳癌の治療において,免疫療法はなお一般的ではないように思える.しかしこの方の何とかしたいという思いが伝わってきて,「たぶん効かない」ととても簡単には言いにくかった.
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