ミドルナースの大学院生活ウォッチング・9
祈り
迫田 綾子
1
AYAKO SAKODA
1
1広島大学大学院医学系研究科博士課程前期
pp.1161
発行日 2000年12月1日
Published Date 2000/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661903635
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今,修士論文に取りかかっている.テーマは,ヘルスプロモーションにおける在宅介護者の口腔ケア行動に関する研究である.まだこれは最終的なテーマではない.しかしここまで絞り込むまでには,図書館に通い,文献検索をやり,論文を読み,「これだ!」と思って指導を受けると,あっという間に問題点が露呈してしまい,またやり直し.なんとも長い長い悩みのトンネルであった.「あまりテーマは変えない方がいいわよ」と言われても,「あれもやりたい,これも必要だ」と,つい欲張ってしまった.
この過程で,看護婦経験があることと,研究経験とは別の世界のことであると思い知らされた.これまで看護婦を続けてくるなかで,仕事を順調に運ぶために必要な学習を経験の上に重ねてきたと思う.しかし今回の研究テーマの絞り込みでは,臨床経験があるからこそ見えていなかった事実があるらしいこと(いわゆる「思い込み」のせいである),そして研究者としての冷静な目によってこそ見えてくることもあるということに気づかされた.
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