明日からできる「物忘れ外来」【第3回】
アルツハイマー病診断のコツ③―治療可能な認知症を見逃さないようにしよう!
川畑 信也
1
1成田記念病院神経内科
pp.502-506
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100365
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治療可能な認知症を見逃さない!
物忘れ=アルツハイマー病ではありません.適切な治療を行うことによって症状が軽快する,あるいは改善する病態,すなわち治療可能な認知症を見逃してはなりません.「物忘れ外来」を受診した1,035人で,「治療可能な認知症」「認知症と類似した病態」と診断された患者さんは70人,6.8%に及んでいます.内訳をみると,抑うつ状態・うつ病が21人と最も多く全体の1/3を占め,次いで老年期にみられる認知症を伴わない幻覚・妄想が15人,甲状腺機能低下症と脳腫瘍,心因反応がおのおの5人ずつの順となっています(表1).
高齢者では慢性硬膜下血腫の可能性を常に考える
物忘れやとんちんかんな行動がみられる患者さんを診察した際,必ず鑑別し除外しなければならない疾患として慢性硬膜下血腫があげられます.慢性硬膜下血腫は,外科的治療で軽快する病態なので見落としてはならないものです.
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