特集 しびれにご用心
症例から学ぶしびれの診療
下肢のしびれ
関口 美穂
1
,
菊地 臣一
1
1公立大学法人福島県立医科大学医学部整形外科学講座
キーワード:
腰部脊柱管狭窄
,
間欠跛行
,
馬尾障害
,
腰部交感神経節ブロック
Keyword:
腰部脊柱管狭窄
,
間欠跛行
,
馬尾障害
,
腰部交感神経節ブロック
pp.722-725
発行日 2006年9月1日
Published Date 2006/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100411
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Question & Answer
Q:間欠跛行の鑑別は?
A:神経性間欠跛行には姿勢性要素がある.一方,血管性間欠跛行に姿勢性要素は関係しない.末梢動脈の拍動の有無や腰痛の合併の有無は必ずしも鑑別点にはならない.
下肢のしびれを呈する原因の1つとして,腰椎疾患がある.とくに中高年では,腰部脊柱狭窄に伴うしびれを主訴として来院する場合がある.脊柱管狭窄の発症機序は十分には解明されていない.脊柱管が狭くて無症状である症例や,加齢に伴う退行性変性により多椎間にわたり狭窄が認められる症例が存在することに留意する.診断を慎重に行い,治療法を選択する必要がある.
問診・診察
腰椎疾患の診察では,問診が最も大切である.問診のみで,症状を引き起こしている疾患や病態を推定することが可能である.しびれの部位や性質,安静時症状の有無,持続時間,動作時に症状が増強または出現するのか,疼痛が伴っているのか否かについて確認する.歩行により症状の発現や増強が認められる場合には,間欠跛行の鑑別が重要である(図1).神経性間欠跛行では,ショッピングカートを押すような腰椎を前屈した姿勢(姿勢性要素:postural factor)での歩行距離が長くなることが特徴である.腰椎の前彎が減少する自転車に乗るような姿勢では,症状が出現しない(自転車テスト陽性).
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