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Question & Answer
Q1:片側のしびれの診察で留意する点は?
A1:片側のしびれでは,突然発症し,dermatomeに一致しない感覚低下と同部位の麻痺の存在を確認した場合,脳血管障害を疑います.手口感覚症候群のように,局所の感覚低下のみを生じ,運動麻痺を伴わないこともあることを念頭において診察にあたってください.
Q2:四肢末梢のしびれの診察で留意する点は?
A2:症状,発症形式や経過とともに,生活歴の聴取も重要です.四肢末梢のしびれにおいては,一般の血液検査で鑑別可能な内科的疾患が原因となっている場合も多数あるため,まずそれらの鑑別疾患を念頭に検査を進めます.月単位より早い進行がある場合には,専門機関での精密検査が必要です.
患者が急性に生じた片側上下肢の「しびれ」を訴えた場合,最も考えられるのが脳血管障害である.しかし,脳血管障害を含めた鑑別診断を念頭に,より具体的な,詳しい問診と診察により判断する必要がある.
脳梗塞ではTIA(J1)として同様の症状を遠くない過去に経験している場合もあるが,一般的に脳疾患による症状は,血管障害および外傷では突然に生じる.急性炎症や脱髄性疾患では比較的急性に生じ,腫瘍では緩徐に発症,進行性である.腫瘍によるしびれは,感覚伝導路を含む病変であっても軽度のことが多い.患者の訴える「しびれ」には,運動麻痺が含まれていることもあるため,しびれの種類を詳細に把握すると同時に,診察においては感覚障害の分布と程度だけでなく,運動麻痺の有無を的確に把握することが重要である.また,急性期の脳血管障害でみられるしびれは感覚低下が主体であるため,それ以外の異常感覚を訴えることは稀である.したがって,急性に生じた一側上肢のしびれでも,痛みを伴う感覚障害を訴えた場合などには,脊椎椎間板ヘルニアの神経根障害など,他の疾患の鑑別が必要である.
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