レビューでわかる! いまどき診療エビデンス 9
高血圧患者への生活相談と治療法
髙橋 敦彦
1
,
久代 登志男
2
1日本大学医学部総合健診センター
2駿河台日本大学病院循環器科
pp.508-510
発行日 2006年6月1日
Published Date 2006/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100366
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Q1 塩分制限は,どの程度が効果的でしょうか?
本態性高血圧例に食塩負荷を行うと,血圧が上昇する例と血圧に大きな影響が生じない例に分かれます.収縮期血圧が前値よりも10%あるいは10mmHg上昇する例を,“食塩感受性を有する”と人為的に判断していますが,こうした食塩感受性を有する例は本態性高血圧の約40%とされます.減塩は食塩感受性例でより有効であると考えられますが,いまのところ食塩感受性を簡単に測定する方法がないため,原則としてすべての高血圧患者が対象となります.
疫学研究によりますと,食事による食塩摂取は血圧上昇に寄与し,高血圧の頻度を高めること1)が示唆されています.この作用は,食事中のカリウム摂取不足により助長されます.世界32カ国,52集団の約1万人を対象としたINTERSALT(an international study of electrolyte excretion and blood pressure)2)では,すべての地域を含めて検討すると,食塩摂取量と血圧との間に正相関が得られています.また,食塩3g/日以上の食塩摂取下では,食塩摂取量と収縮期血圧の相関関係は弱いものの,食塩3g/日未満では食塩摂取量と収縮期血圧の相関関係がより顕著であることが示されています.
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