JIMで語ろう
“学び”は越境する―教育の革命家と家庭医との対話から
佐藤 学
1
,
藤沼 康樹
2
1東京大学大学院教育学研究科
2日本生協連医療部会家庭医療学開発センター
pp.412-421
発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100301
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
藤沼 今やプライマリ・ケアにとって,“教育”は重要なキーワードです.患者さんとの対話ではもちろんのこと,スタッフと一緒に勉強をしたり,研修医を引き受ける機会も増えています.また,医師としての自分自身をどうブラッシュアップしていくかという“生涯教育”も,とても重要な問題です.本日は,佐藤先生にプライマリ・ケア医の教育―“学び”という示唆をいただければと思います.
そもそもprofessionalとは何者か?
藤沼 数年前,私が家庭医の専門教育について悩みを持ちはじめたころ,効果的な指導の糸口を見つけたいと考えて立ち寄った書店の教育書コーナーで,偶然佐藤先生の著書を手に取ったのが,そもそもの先生との出会いです.医学と教育学という一見全く異なるフィールドですが,「学校は教師たちが専門家として学びあう『学びの共同体』である」「『学びの共同体』としての学校を築くためには,すべての教師が教室を開きあい,授業の事例検討をとおして学びあう同僚性(collegiality)を築かねばならない」「教育に学びあう関わりを築き,職員室に専門家として学びあう同僚性の関係を築くためには,聴きあう関係とそこから生まれるダイアローグ(対話)の関係を築かねばならない」という“professional論”は,私にとって非常に新鮮で,示唆に満ちた視点だったのです1).
Copyright © 2006, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.