レジデントCase Conference
発熱,ショックにて搬送され,入院後も低血圧が遷延した59歳男性
小西 竜太
1
,
長谷部 浩平
1
,
中野 伸亮
1
,
坂本 和太
2
,
山田 慎
1
,
仲里 信彦
1
,
徳田 安春
1
1沖縄県立中部病院内科
2岩手県立中央病院内科
pp.154-157
発行日 2006年2月1日
Published Date 2006/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100238
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今回の症例は発熱と血圧低下で受診した胃全摘後の慢性アルコール多飲者であり,感染症治療後も低血圧が遷延するため,研修医からコンサルトを受けた.外科初療医は,敗血症性ショックを考えて治療を開始した.しかし,本症例において喀痰培養でS.aureusが検出された以外(これも臨床所見から病的意義に乏しい),血液培養,腹水培養や尿培養は陰性であること,代謝性アシドーシスなどの循環不全のサインが乏しいこと,ショックにしては意識レベルや尿量などの全身状態が悪くないことより,敗血症性ショックにしては穏やかな印象があった.もちろん,cardiogenic shockやobstructive shock,そしてhypovolemic shockをきたす重症疾患は,入院後の精査により否定されていた.初療医は,遷延する血圧低下には他の要因がからんでいるのではないかと考えた.
入院後の血圧変動であるが,昇圧薬使用中は100~120/60mmHg,昇圧薬を中止した後は60~80/40mmHgと低下していた.ちなみに,心拍数は昇圧薬の使用前後においても80~100/分程度で,大きな変動はなかった.
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