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Case
患者:93歳,男性.
主訴:腹痛および歩行困難.
現病歴:普段の生活は自立しており,自宅周囲の散歩も可能であった.入院当日の深夜に自室でトイレに行こうとしたところバランスを崩して転倒.家族が駆けつけたところ,本人は左側臥位で横たわり動けないでいた.意識障害や失禁などはなく会話も問題なかった.しかし,自力で起き上がることができず,腹部を触ると痛みを訴えた.このため,救急車にて当院搬送となった.発熱,嘔吐,下痢・便秘などの症状は認めていない.
既往歴:肺炎と尿路感染にて数回の入院歴あり.
常用薬:なし.
生活歴:喫煙・飲酒なし.
入院時身体所見:血圧140/70mmHg,心拍数60回/分,呼吸数18回/分,体温36.8℃.GCS 15点.全身状態はやや苦悶様で仰臥位にて動かない.結膜に貧血・黄疸なし,頸部に圧痛を認めない,硬直なし.肺音は清,左右差なし.心音は整,雑音なし.腹部は打診では圧痛を認めず,触診にて臍下部に圧痛あり,反跳痛や筋性防御を認めず.腸蠕動音は減弱,背部に叩打痛なし,両下肢の挙上や回旋は痛みのため困難,動かそうとすると下腹部を痛がる.直腸診では局所の圧痛はなく,便潜血陰性.神経学的所見では脳神経所見の異常なし,深部腱反射の亢進減弱なし,病的反射なし.徒手筋力試験では左右上肢では5,左右下肢では痛みのため評価困難だが左右差なく4以上,感覚は正常.指鼻試験異常なし.
血液検査所見:血算;WBC 7,700/μl,RBC 348×104/μl,Hb 11.5g/dl,Plt 22×104/μl.生化学;Na 142mEq/l,K 4.3mEq/l,Cl 107mEq/l,BUN 19mg/dl,Cre 1.1mg/dl,CK 83IU/l,AST 16IU/l,ALT 13IU/l,CRP 0.5mg/dl.
一般尿検査:pH 7.5,糖(-),蛋白(-),潜血(-),沈渣は異常なし.
心電図:心房細動.
胸部X線:明らかな異常を認めず.
骨盤部X線:図1.
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