JIMで語ろう
―プライマリ・ケアのパイオニア永井友二郎氏に聞く―本道の医療を追い続けて
永井 友二郎
1
,
松村 真司
2
1永井医院
2松村医院
pp.766-773
発行日 2005年9月1日
Published Date 2005/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100159
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患者の話を聞きすぎた!? 勤務医時代
永井 終戦後は千葉大学医学部第二内科に入局し,臨床のかたがた研究を行っていました.
松村 第二内科は何がご専門なのですか.また先生の研究テーマは何でしたか.
永井 第二内科の専門は循環器と気象・気候医学でした.私は海軍で数理統計学の勉強をしてきたこともあって,堂野前(維摩郷)教授に頼まれて東大物療内科の統計学者,増山元三郎先生の所へも通いました.当時は物がなくいろいろ事欠いたわけですが,そういう場合でも統計学的研究は非常にやりいいんですよ.私は「急性伝染病の発病と季節」をテーマに,主な循環器や消化器の病気の発病,増悪度検出を統計学的に解析し,季節と関係づける,ということをやっていました.
研究が終わったあとは,1950年から5年間,成田赤十字病院の内科にいました.私は人間好きで,また堂野前教授からは“総合的な医療”,「患者さんとの対話や,理解を大事にしなさい」という教えを受けていたので,その流儀で患者さんといろんな話をしながら診療していたら,外科医長から「君は患者の話を聞きすぎる.そういうのは学問的でない」と小言をくらったんです.そんなこともあって,長くいる所ではないと感じ,自分の城を持ち,自分のやりたい医療をやりたいと考え,開業することになったわけです.
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