EBM時代の生薬・方剤の使い方[14][生薬]
黄芩の抗アレルギー作用
永井 博弌
1
1岐阜薬科大学薬理学教室
pp.160-165
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100065
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黄芩は,シソ科コガネバナ(Scutellaria baicalensis, Georgi)の周皮を除いた根の生薬である.味は苦く,成分としてbaicalein,baicalin,wogonin,wogenin glucuronide,oroxylin Aなどのフラボノイドや,β-sitosterol,campesterolなどのステロイドを成分として含有する.柴胡と合わせて柴胡剤として胸脇苦満に用いたり,黄連と合わせて瀉心湯類としてみぞおちのつかえ感である心下痞に用いられる.
柴胡剤としては小柴胡湯,大柴胡湯,柴胡桂枝湯などがあり,肝炎をはじめとする消化器系の炎症性疾患や,感冒,流感,肺炎など呼吸器系の炎症性疾患にも用いる.また,瀉心湯類は半夏瀉心湯,甘草瀉心湯,黄連解毒湯など,みぞおちのつかえがある疾患に用いている.黄芩の薬理作用としては,表1に示すように,利胆作用,肝障害保護作用,緩下作用,利尿作用,抗炎症作用,抗アレルギー作用,抗動脈硬化作用,鎮痙作用などが報告されている.近年これらに加えて制癌作用,神経保護作用が多数報告され,多彩な作用が明らかにされつつある.作用の本体は,フラボノイドを多く含むことから抗酸化作用が最も強いものと思われるが,消炎,解熱,止血作用なども寄与すると考えられる.
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