今月の主題 アレルギー疾患の現況と今後の展望
話題
プロスタノイドとアレルギー
永井 博弌
1
Hiroichi NAGAI
1
1岐阜薬科大学臨床薬理学研究室
キーワード:
プロスタグランジン
,
アレルギー性炎症
,
抗アレルギー薬
Keyword:
プロスタグランジン
,
アレルギー性炎症
,
抗アレルギー薬
pp.781-786
発行日 2005年7月15日
Published Date 2005/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542100153
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1. はじめに
気管支喘息,アトピー性皮膚炎,アレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患は,アレルギー性炎症をベースとすることが近年の研究から明らかにされている.アレルギー性炎症はいわゆる非アレルギー性炎症と種々の点で異なる.表1にその主な相違点を原因,病理学的所見,炎症細胞,抑制薬および発症因子の項目について示す.われわれは種々のアレルギーモデルおよび非アレルギーモデルを用いてその相違点を検討してきたが,非常に大きく異なる点は,プロスタグランジン(PG)の産生を抑制する非ステロイド性抗炎症薬の作用である.このような非ステロイド性抗炎症薬の作用の違いからアレルギー性炎症と非アレルギー性炎症におけるPGの役割の違いが示唆される.そこで,われわれの教室ではそれぞれの炎症におけるPGの役割をPG受容体欠損マウスを用いて検討した.その結果,PGの中にはアレルギー性炎症に促進的に働くPGと抑制的に働くPGが存在することを示す成績を得た.加えて,アレルギー反応にはPGのように物質間でバランスメカニズムが存在し,そのバランスの崩れが発症と関連するものと思われるので,それらの点についても述べる.
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