患者の論理・医者の論理[22]
医学的根拠と医師の立場
松村 真司
1
1松村医院
pp.152-155
発行日 2005年2月1日
Published Date 2005/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100063
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Case
患者:近藤寿子(仮名),83歳,女性.
近藤さんは本態性高血圧のため,あなたの診療所に長年通院している患者さんである.血圧はtrichlormethiazide(フルイトラン(R))2mg/日の内服で長年良好にコントロールされており,その他健康上大きな問題は認めていない.今回は,同居している長女とともに南アフリカ共和国への海外旅行のツアーに申し込んだところ,主催旅行会社から「80歳以上の海外ツアー参加者は,主治医から『身体上旅行に全く支障がない』という趣旨の診断書を提出すること」を求められたため来院した.診察上はとくに問題となる所見は認めない.しかし,8泊10日,片道25時間の旅行計画には,多少の危険性を含むとも考えられ,「身体上旅行に全く支障がない」ことを証明する診断書の発行には心理的抵抗を感じた.
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