Correspondence
妄想・幻覚患者の自己決定能力の判断について
酒見 英太
1
,
上村 直人
2
1国立病院機構京都医療センター総合内科
2高知大学医学部神経精神病態医学教室
pp.61
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414100038
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酒見 英太
(国立病院機構京都医療センター総合内科)
『JIM』14巻10号(p860)に掲載された上村直人先生・他による論文「妄想・幻覚患者への法的対応」の中で,北村らによる翻訳本『治療に同意する能力を測定する』は紹介されているものの,患者の自己決定能力の有無につき,われわれ一般の臨床医がどうしても判断に困る場合は出てくると思われます.たとえば,救急外来にて,少なくとも一時的には精神障害をきたしていると考えられる身寄りのない患者が,放置すれば急速に悪化して死亡する可能性が高い病態にあると医学的には推定されるにもかかわらず,医師の入院の勧めに逆らって帰宅を主張する場合などです.そのまま帰して死亡した場合,責任を問われるかもしれないし,鎮静をかけるなどして無理やり治療をすると,人権侵害を追及されるかもしれない.こういった場合,米国では精神科医が呼ばれ,authorityをもって患者の自己決定についてのcompetencyを判定する,という現場に私は遭遇した経験がありますし,ドラマ『ER』でもそんなシーンが何回かあったように記憶しています.
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