画像診断
尿膜管膿瘍の2例—典型例と非典型例
有澤 千鶴
1
,
安藤 正夫
1
,
辻井 俊彦
2
1東京都保健医療公社東部地域病院泌尿器科
2東京医科歯科大学医学部泌尿器科学教室
キーワード:
尿膜管膿瘍
Keyword:
尿膜管膿瘍
pp.609-611
発行日 1996年7月20日
Published Date 1996/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904376
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例1(典型例)
患者 34歳,男性。
主訴 下腹部痛,下腹部腫瘤。
既往歴 28歳時,腸閉塞にて手術。
現病歴 1994年9月,主訴出現。腹壁膿瘍と診断され当院を受診した。
現症 下腹部正中やや右に手拳大で圧痛を伴う腫瘤を触知した。
検査所見 血沈・C反応性蛋白・白血球の上昇を認め,腫瘤穿刺液は赤褐色膿性(培養は陰性)であった。
経過 画像診断にて尿膜管膿瘍と診断し,腫瘤および膀胱部分切除術を施行。病理学的にも肉芽腫と膿瘍であった。
症例2(非典型例)
患者 58歳,女性。
主訴 頻尿,下腹部腫瘤。
現病歴 1994年10月より主訴出現し,当院受診した。
現症下腹部正中に手拳大で硬く,圧痛のない腫瘤を触知した。
検査所見 血液学的には異常所見なく,腫瘤を穿刺する。液体成分なく細胞診はClass Iであった。膀胱鏡で,頂部に結節状腫瘤を認め,経尿道的に生検したが浮腫性変化のみであった。
経過 画像診断にて充実性腫瘤と考えられたため,悪性腫瘍を疑い手術を施行した。腫瘤は石様硬で尿膜管と連続しており,腹直筋・横行結腸・子宮・膀胱と強固に癒着していたため,腫瘤・膀胱・子宮全摘および横行結腸部分切除術となった。しかし,病理学的には炎症性偽腫瘍であった。
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.