画像診断
術前診断が困難であった後腹膜脂肪肉腫
若杉 英子
1
,
北川 道夫
1
,
松岡 利幸
2
1国立大阪南病院泌尿器科
2国立大阪南病院放射線科
キーワード:
後腹膜腫瘍
,
脂肪肉腫
Keyword:
後腹膜腫瘍
,
脂肪肉腫
pp.605-607
発行日 1996年7月20日
Published Date 1996/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413904375
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患者 70歳,女性。
主訴 体重減少。
家族歴 特記すべきことなし。
既往歴 40歳時に甲状腺機能亢進症の手術を受けた。
現病歴 1995年1月頃から体重減少が始まり,半年で10kg,この2か月で6kgの体重減少を認めたため,内科を受診。左側腹部の腫瘤を指摘され,腹部エコーで左腎腫瘍を疑われ,6月28日当科紹介となった。
入院時現症 身長149.6cm,体重41.9kg。痩せ型。顔色やや不良。左側腹部に超手拳大,弾性硬で可動性のある腫瘤を触知した。圧痛は認めなかった。また左鎖骨上窩リンパ節を触知した。
入院時検査所見 C反応性蛋白3.76mg/dl,赤沈137mm/時間,尿沈渣で3〜5/毎視野の顕微鏡的血尿を認める以外に異常所見は認めなかった。
臨床経過 図1〜4の画像診断より左腎腫瘍の診断にて7月10日左腎摘除術を施行した。病理組織診断は脂肪肉腫,粘液型であった。術後に撮影したGaシンチ,骨シンチでは転移を疑う所見は認めなかった。cyclophosphamide,vincristine, adriamycin, dimethyl triazenoimidazole carboxamideを併用したいわゆるCYVADIC療法を2コース施行し,現在まで再発の徴候なく経過している。
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