増刊号特集 泌尿器科手術における合併症管理のすべて
Ⅳ.術後合併症とその管理
4.消化管系
ストレス性胃潰瘍,出血性胃炎
池内 隆夫
1
,
真田 裕
2
Takao Ikeuchi
1
1昭和大学藤が丘病院泌尿器科
2昭和大学藤が丘病院外科
pp.299-301
発行日 2001年3月30日
Published Date 2001/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903240
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1 はじめに
手術に伴う胃粘膜傷害の多くは生体防御機能の低下している患者に発生する。この病変の主体は胃粘膜全域に散在する浅い多発性粘膜ビランであり,熱傷によるCurling潰瘍や脳の疾患・外傷でみられるCushing潰瘍のような胃・十二指腸の深い潰瘍とは異なる場合が多い。したがって,後者が穿孔の頻度が高いのに対し,主な臨床症状は消化管出血である1)。
術後胃粘膜傷害はいかなる手術でも発生しうる合併症であるが,基礎疾患に肝機能障害や腎機能障害を持つ症例,胃・上二指腸潰瘍の既往歴を有する症例,副腎皮質ステロイド薬や非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)服用例に多くみられる。また,術後の感染症や大量輸血および多臓器不全も重大な発生危険因子として対応する必要がある。この病態生理に関しては未だにすべてが解明されているわけではないが,効果的な予防策の開発によって以前は30%に達していた出血の頻度は,最近では5%以下に減少している。
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