小さな工夫
恥骨後式前立腺全摘除術における術中経直腸超音波検査の有用性
三股 浩光
1
,
野村 芳雄
1
1大分医科大学泌尿器科
pp.1060
発行日 2000年12月20日
Published Date 2000/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413903115
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前立腺尖部の形状は個人差が大きく,尿道後方の尖部のみが遠位方向に延びている例もある。恥骨後式前立腺全摘除術においては前立腺に切り込まずに,しかも可及的に外尿道括約筋を温存するために,前立腺尖部は特に慎重な操作が求められる部位である。左示指の直腸診と右示指による触診によって前立腺尖部の形状を把握して切除断端を決定するが,腹腔鏡下手術やミニラパロトミーによる前立腺全摘除術の場合には触診が不十分で,正確な形状の把握が困難である。
このような場合に術中経直腸超音波検査を用いると,前立腺尖部と膜様部尿道の位置関係を明瞭に把握でき,切開線をリアルタイムで観察できる。さらに直腸壁を観察しながらデノビエ筋膜の切開・剥離が可能となり,周囲組織と癒着のある症例でも直腸損傷を起こす心配がない。また,膀胱頸部を可及的に温存する場合にも本法は有用である。
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