Japanese
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手術手技
経恥骨式広汎性前立腺全摘除術
Transpubic Total Prostatectomy
宍戸 仙太部
1
,
加藤 哲郎
1
Sentaro Shishito
1
,
Tetsurou Kato
1
1東北大学医学部泌尿器科学教室
1Department of Urology, Tohoku University School of Medicine
pp.121-128
発行日 1970年2月20日
Published Date 1970/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413200863
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はじめに
悪性腫瘍に対する決定的な化学療法が未だに開発されない現状では,根治手術が大多数の悪性腫瘍の最良の療法である。前立腺癌には幸いにも抗男性ホルモン療法が著効を示すものが多いが,その根治はやはり手術を行なうほかに方法はない。前立腺癌の根治手術は前立腺を精嚢腺とともに完全に摘除し,同時に所属リンパ腺廓清をも行なうものである。これを前立腺全摘除術(以下全摘術と略す)と称し,一般には恥骨後式あるいは会陰部式全摘術がなされて来た。会陰部全摘術は解剖学的に前立腺への到達経路が最も近く,かつ前立腺尖部の手術操作も容易であるが,手術野が狭いために広範なリンパ腺廓清ができない欠点がある。これに対して恥骨後全摘術ではリンパ腺廓清は充分に行なわれ得るが,前立腺尖部が恥骨に覆われるために同部の止血,切断ならびに吻合等の操作に非常な困難を伴うものである。そこで私どもは両者の長短所を比較検討した結果,前立腺の上をひさしのごとく覆つている恥骨を除去すれば前立腺尖部の手術操作が直視下に容易に行なうことができ,理想的な根治手術が可能であろうと考えて開発したのが経恥骨式広汎性前立腺全摘除術である。この術式を考案してから約10年を経過したが,この間種々の改良を重ねながら今日ではかなり満足できる手術法にまで発展させ得たと考えている1〜8)。
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