増刊号特集 泌尿器科外来診療—私はこうしている
Ⅴ.外来診療のポイント
外傷(腎,膀胱,尿道)
坂下 茂夫
1
Shigeo Sakashita
1
1帯広厚生病院泌尿器科
pp.203-209
発行日 2000年3月30日
Published Date 2000/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902924
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1 外傷診療の一般的事項
尿路の外傷には鋭的外傷と鈍的外傷があり,鋭的外傷は銃創や刺傷などにより起こり,鈍的外傷は交通事故,作業事故やスポーツ事故などが主な原因である。日本においては鋭的な尿路外傷は例外的である。尿路は肋骨や骨盤など骨格に守られている臓器であり,尿路の鈍的外傷は比較的大きな外力が加わったときに起きる。このため,尿路単独の外傷ばかりではなく,尿路以外の多臓器外傷や骨折を伴うことが多い。
外傷患者を初めて外来診療する場合には,患者の意識状態,呼吸や血圧を含め全身状態をまず観察することが重要である。必要であれば気道を確保し,呼吸や循環動態を維持し,中心静脈へのアクセスを確保するなど救命救急治療を優先する。開放性骨折や切傷などに伴う出血がある場合には,止血操作を行う必要がある。
Copyright © 2000, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.