増刊号特集 泌尿器科外来診療—私はこうしている
Ⅴ.外来診療のポイント
性分化異常
高田 晋吾
1
,
菅尾 英木
1
,
松宮 清美
2
,
奥山 明彦
2
Shingo Takada
1
1箕面市立病院泌尿器科
2大阪大学医学部泌尿器科
pp.197-201
発行日 2000年3月30日
Published Date 2000/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902922
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1 はじめに
従来,ギリシャ,ローマの古代より中世まで性の決定は人間の関与するところではなく,「神」の決定による神聖なものであり,いずれでもない性(性分化異常)は「神」の意志に反するものと見なされた。文芸復興(ルネサンス)期以降,疾患と臓器のレベルで科学的に考察するようになり,特に近年の分子遺伝学および分子生物学の進歩により,その分子レベルでの仕組みが急速に解明されつつある。例えば,1990年にBertaら1)によってY染色体の短腕上に同定されたSry/SRYは長い間捜されていた精巣決定因子の1つであり,XX男性やXY女性にSry/SRYの異常があることが知られるようになった。臨床の場においてもこれらの知見を無視して診療することは難しくなってきており,性分化の機構を正しく理解しておくことは非常に重要であると考えられる。
本稿では,臨床の場での診察,治療の進め方と最近の知見との関連を含め整理してみた。
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