交見室
患者の自己責任/尿道ポリープ考
勝岡 洋治
1
1大阪医科大学泌尿器科
pp.176-177
発行日 2000年2月20日
Published Date 2000/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902858
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昨年末に某病院主催のゴルフコンペが計画されたが,生憎当日は雪が降り中止となった事前に配布された参加者名簿の中に,4か月前に泌尿器科手術を受けられた当大学名誉教授の名前があった。名誉教授がプレイできるまでに回復されたことに,執刀者として肩の荷が下りた思いがした。手術を決定するまでには紆余曲折があり,私達治療側にも大いに困惑があった。しかし,最終判断は名誉教授自身の一言に委ねられ,過去に多くの病歴を有し患者としての体験を重ねられてきたことが,今同の先生ご自身の自己責任に生かされたと推測される。
症例呈示風に略記してみる。患者は74歳,男性,医師。主訴は左側腹部痛,既往歴は虫垂炎,糞瘻,尿路結石,前立腺肥大症,胆石などである,現病歴は,夕食中に突然側腹部痛が生じたため,勤務先関連の病院を受診し,尿路結石の診断の下に鎮痛剤の投与を受けたが効果はなく,当科に緊急入院となった。直ちに硬膜外麻酔にて疼痛の軽減が図られた。逆行性腎孟造影の結果は,腎孟尿管移行部の直下と尿管下端の2か所に狭窄を認め,前者には陰影欠損像を伴っており,後者には不整像はみられなかった,確定診断のために尿管鏡が試みられたが,尿管下端の狭窄部を内視鏡の外筒が通過できなかったので,ダブルJカテーテルの留置を行った。膀胱尿,腎孟尿いずれも細胞診は陰性であった。腹部CTでは,尿管壁の肥厚が著明であるが,炎症性変化と腫瘍性病変との鑑別は困難とする所見であった。MRIでも同様な見解であった。
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