交見室
教授回診/小児真性包茎の治療についての考察—岩室紳也先生に対する回答
勝岡 洋治
1
1大阪医科大学泌尿器科
pp.648-649
発行日 1999年7月20日
Published Date 1999/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902718
- 有料閲覧
- 文献概要
石川恭三氏(杏林大学医学部内科教授)の「医者の目になみだ」と題する本の中に,自らの教授回診の感想を綴った一節がある。
「患者さんの一人一人の反応をみながら話しかけていくのだが,これにはかなりの神経をつかう。私のいったことをその後,何度となく頭の中で,反芻して,喜んだり,悩んだりするはずだからである。できるだけ勇気づけになるよう言葉を選んで話すようにしているが,そうかといってそらぞらしい調子のいいことをいったら,(先生は何かを隠しているに違いない。だからあんなことを私にいったんじゃないかしら。きっと,そうに違いない。ひょっとして,私の病気は……)と私が思いもっかない方向に,患者さんの想像が発展していくことになりかねない。〜略〜一人一人の患者さんの不安と期待が入りまじった鋭いまなざしを一身に受け止めなくてはならない。私の一挙手一投足の中から何かを読み取ろうとしている患者さんの目が,私の五感を強烈に刺激する。〜略〜重症な患者さんの診療を終えて部屋の外に出ると,正直ほっとした気持ちになる。〜略〜このような天国と地獄の間を行ったり来たりしながら回診が進んでいく。回診を終えて教授室に戻ってくると,えもいわれぬ疲れが全身を覆う。椅子に座って目を閉じると,自分の体が渦を巻いている闇の中へ吸い込まれていくように感じられる。」
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.