増刊号特集 泌尿器科画像診断
Ⅱ.基本的な検査—手技と診断のポイント
逆行性尿道造影
斉藤 雅人
1
,
本郷 文弥
1
,
中河 裕治
2
,
温井 雅紀
2
,
寺崎 豊博
2
,
今出 陽一郎
2
,
高田 仁
2
,
北森 伴人
2
,
大江 宏
3
Masahito Saitoh
1
1明治鍼灸大学泌尿器科
2FAMY泌尿器科研究グループ
3京都第二赤十字病院泌尿器科
pp.83-87
発行日 1999年3月30日
Published Date 1999/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413902561
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
1 はじめに
逆行性尿道造影(以下,尿道造影)は,名前のとおり尿道の状態を調べるのに適した検査法である。しかし,従来から前立腺疾患の診断法として主要な役割を果たしてきた。筆者が医師になりたての頃(20数年前),前立腺の画像診断と呼べる検査法はなく,尿道造影が前立腺疾患の診断の中心的な検査法であった。その後,経直腸的超音波断層法が渡辺ら1)によって実用化され,前立腺疾患の画像診断としてはじめて前立腺そのものが描出できるようになり,前立腺疾患の診断については次第に尿道造影に取って代わることになった。さらに,CTやMRIといった画像診断も前立腺疾患の診断に加わり,ますます尿道造影の役割は少なくなっている。
極論すれば,前立腺疾患の診断には尿道造影は不要であるといってもよいと思われる。なぜなら,尿道造影はX線被曝があったり(これは被検者,検者双方とも),被検者に苦痛を与えるにもかかわらず,診断のための情報が少ないからである。ただし,尿道狭窄の診断には,尿道造影は依然としてgold standardである。
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.