Coffee Break
腎癌患者の遺産—生き続ける培養細胞
勝岡 洋治
pp.145
発行日 1996年3月30日
Published Date 1996/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901745
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組織培養から得られた知見は動的な細胞生物学という新しい学問体系を生みだし,とりわけ癌研究の領域において多大な貢献をもたらした。
人癌細胞培養の歴史の中で,培養方法の飛躍的な進展の時期を画したものは,1952年Geyらによって子宮頸癌から得たHela細胞の樹立であった。人癌由来細胞株が半世紀にわたって死に絶えることなく連綿と植えつがれ世界中の研究室で用いられているのは驚きであり,患者にとっては負の遺産とはいえ,体の一部が培養瓶の中で生きつづけている事実に深い感動を覚える。
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