連載 私たちの法律・12
遺産分割の協議
遠藤 順子
pp.60-63
発行日 1972年3月1日
Published Date 1972/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204334
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<設例 25>
A子さんの夫B氏が死亡したとき遺産としては5千万円相当の土地と3百万円相当の家屋があった。そして,相続人はA子さんと3人の子供(C,D,E)であった。ところがB氏の死後2年ちかくたったころ,今まで1度もA子さんたちの前に現われたことのなかったF氏からA子さんと3人の子供を相手にしてB氏の子供であることを認めて欲しいとの訴が提起され,1年半程訴訟をした結果裁判所はF氏の言い分を認めた。そこで,F氏を含めた5人がB氏の遺産を分割しようと参集したところ,驚いたことにB氏の死後1年もしない間に,遺産の半分をこえる3千万円相当の土地が次男のD氏によって第三者に売渡され,第三者のために所有権移転の仮登記がつけられてしまっていることが判明した。相続人たちのとりうる方策は何か。また,A子さんら相続人たちは遺産についてどのようなわけ方をすることができるか。さらに,もしC氏が結婚のときすでに600万円相当の土地をB氏からもらっていたとしたら,そのことは遺産の分割に際してどのように考慮されるか。
ある人が(遺産を残して)亡くなり,遺言がなかった場合,相続人たちはまず単純に承認するか,それとも限定承認をするか,あるいは放棄をするかの選択の自由を有することは前号で述べました。
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