特集 泌尿器科診療ベストNAVI
Ⅱ 疾患・病態の診療
7 腫瘍
腎腫瘍
087 腎細胞癌(腎癌)
小林 実
1
,
森田 辰男
1
1自治医科大学腎泌尿器外科
pp.252-254
発行日 2013年4月5日
Published Date 2013/4/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413103156
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
1 疾患概念,病因
検診や他疾患の画像検査の機会の増加に伴い,腎腫瘍を指摘される患者が著しく増加しており,2010年の腎癌の罹患患者数は16,963人,死亡数は7,560人(男性4,925人,女性2,635人)で,全癌死亡の2.1%を占めていた1)。腎細胞癌の多くは転移がなく根治手術の適応となるが,ほかの癌種と異なり術後5~10年以上経過して転移が出現したり,初診時すでに転移を有する症例は20~30%存在する。したがって,全癌死亡に占める割合は低いものの,最終的な腎細胞癌による死亡率は40%と高い。腎細胞癌のほとんどは散発性であるが,一部はvon Hipple-Lindau(VHL)病,遺伝性乳頭状腎癌,遺伝性平滑筋腫症腎癌やBirt-Hogg-Dube症候群など家族性である。散発性でも1親等親族に腎細胞癌を認めた場合には,リスクは2~4倍といわれている。罹患のリスク因子としては喫煙,肥満,高血圧や透析腎などが挙げられている。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.