手術手技 基本的な手術・20
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吉田 和弘
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1日本医科大学付属病院
pp.1004-1005
発行日 1995年12月20日
Published Date 1995/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901643
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およそ20年前までの泌尿器科医にとって,腎結核に対する腎摘除術と精巣上体結核に対する精巣上体摘除術は後腹膜腔および陰嚢内の観血的手術の基本を習得する絶好の機会であった。尿路結核症患者の減少と,抗生剤の研究開発によって典型的な慢性精巣上体炎を治療する機会は少なくなったが,精巣上体摘除術は精路の再建術など,陰嚢内容物の解剖と生理・病理を知るうえでも必修すべき手術法である。
精巣上体はしばしば解剖学的にバリエーションに富んだ構造奇形を有する。とくに体部が長いため,尾部が予想外の部位に位置することがある。また,頭部と尾部が必ず精巣と固定されているわけではない。開創して,精巣上体と精巣の関係が予想外に煩雑であったため,精巣の保全に苦慮することも念頭におき,精巣除去術などの可能性についてもインフォームドコンセントをとっておかなければならない。
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