交見室
腎癌取扱い規約第2版の問題点,他
水関 清
1
1広見町国民健康保険愛治診療所
pp.350-352
発行日 1995年4月20日
Published Date 1995/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901506
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各種画像診断法の進歩と普及にともない,腎細胞癌(以下.腎癌)をはじめとする腎腫瘍が発見される機会は,近年飛躍的に増加した。それら画像診断法の中でも,超音波検査法の備える簡便性と非侵襲性は高く評価され,広く日常診療に応用されるに至った。
このように腎腫瘍発見に果たす超音波検査の重要性への認識が高まりつつある中で,腎癌取扱い規約第2版(以下,新版)が上梓されたのは1992年のことであった。新版における腫瘍の病理組織学的進展度分類を,1983年の規約第1版(以下,旧版)と比較してみると,いずれもTNM分類に準拠しており,分類の骨格部分に大きな変更はない。大きな変吏がみられるのは,原発腫瘍の項(pT因子)である。腎に限局する腫瘍をpT1またはpT2とすることは,新旧両版に共通しているものの,新版では新たに腫瘍の大きさの概念の明確化が図られている。
すなわち新版では.腎に限局する腫瘍を腫瘍径2.5cmを境にpT1とpT2とに分け,2.5 cln以下をpTl,2一5cmを越えるものをpT2と定義した。ちなみに旧版におけるpT1とは,腎の腫大を伴わない"小さな"腫瘍であり,pT2とは,腎の変形または腫大を伴う"大きな"腫瘍とそれぞれ定義されており,pT2はさらに.被膜下に腎皮質の連続性が保たれているpT2aと,被膜下腎皮質の消失しているpT2bとに亜分類されていた(新版ではpT2の亜分類は廃された)。
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