交見室
腎癌の手術適応,他
竹内 弘幸
1
1東京医科歯科大泌尿器科
pp.718
発行日 1976年8月20日
Published Date 1976/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413202215
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野口氏らの「下大静脈切除を行なつた腎癌摘出術の1例」(臨泌30巻5号)を興味深く拝見いたしました。
著者らも述べているように腎癌の発見時期は他の悪性腫瘍に比して遅い。東京都内のような医学知識が普及した都市ならば比較的発見が早いかと思つて,手元にある当科の統計をみると31例中15例(48%)がT3(UICC分類)以上,つまり半数が脂肪被膜あるいは腎静脈への浸潤が証明された進行癌である。こうした症例に対する手術適応は予後の点だけから眺めれば,現段階では問題がある。しかし,著者らの症例のように強度の血尿から患者を解放するという純粋な臨床的要求からも,また治療法を前進させるためにもより高度な術技を開発していかなければならない。それがわれわれの使命でもある。こうした意味で著者らの試みは高く評価されるべきである。
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