Coffee break
尿路変向とQOL
佐々木 昌一
pp.169
発行日 1995年3月30日
Published Date 1995/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901474
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最近,患者のQOLを考慮し,膀胱全摘後には回腸や結腸を用いた代用膀胱を作成することが多くなってきた。たしかにストマを持つことに比べれば,多少排尿が上手く行かなくても,導尿が必要になろうとも,自排尿可能な代用膀胱の方が喜ばれるに決まっているが…。
ゴルフ仲間のA氏とB氏,仲良く膀胱癌になって膀胱全摘術をうけた。A氏は回腸を用いた代用膀胱造設術を,別の病院でB氏は回腸導管による尿路変向術を施行された。2人とも元気になってまた一緒にゴルフを楽しめるようになった。はじめのうち,みんなとお風呂に入れないB氏は,A氏のことを羨ましく思った。しかしA氏は時々ゴルフ中に尿失禁をきたし,気になってなかなかスコアがまとまらない。また排尿時間が長く,ときにCICを行わなくてはならないため,パーティの仲間をティーグランドで待たせたり,キャディーさんにせかされたりして,昔のようにゴルフを楽しめない。A氏は手術の前に主治医から聞いた「ストマをもつ回腸導管より,自排尿可能な代用膀胱のほうが日常生活でずっと便利ですよ。」という言葉を信じたことが間違いだったと考えるようになり,B氏のことを羨んだ。
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