今月の主題 内科医に必要な泌尿器科の知識
泌尿器科的徴候
尿失禁
土田 正義
1
,
森田 隆
1
Seigi Tsuchida
1
,
Takashi Morita
1
1秋田大学医学部・泌尿器科
pp.2496-2498
発行日 1982年12月10日
Published Date 1982/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402218063
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膀胱は尿道との協調作用によって無意識的に尿を貯留する機能を持っているが,そのいずれかが機能的あるいは器質的障害を起こすと,抑制意志に反して尿が漏れる状態が起こり,これを尿失禁と呼んでいる.尿失禁を正しく評価することは,適切な治療を行う上できわめて重要である.男子と女子ではcontinence(尿禁制:尿の漏出を抑える作用)の機序が異なり,男子では精阜より上位の膀胱頸部と前立腺部尿道からなる近位内尿道括約筋と,精阜より遠位にある平滑筋性尿道と外括約筋からなる遠位尿道括約筋の2つの領域の緊張が,continenceの最も基本的な役割を演じている.一方女子においては尿道は非常に短かく,尿道粘膜周囲の筋構築も男子に比べて弱い.女子の尿道抵抗は尿道粘膜,平滑筋尿道,外尿道括約筋の要素によって保たれている.しかし女子尿道平滑筋は輪状筋に乏しく,正常の若い女子尿道において尿道内圧の30%を占める外括約筋の緊張もまた,ほとんどの場合分娩による損傷のため減少するといわれている.
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