手術手技 基本的な手術・9
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杉田 篤生
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1産業医科大学泌尿器科
pp.38-39
発行日 1995年1月20日
Published Date 1995/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901365
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那須先生の「膀胱腟瘻閉鎖術」は,手術手技を具体的に,詳細に,しかも解りやすく述べておられるので,膀胱腟瘻閉鎖術を行う泌尿器科医にとって,大変参考になるのではないかと考えている。那須先生は,経腹膜的膀胱内,外的到達法について記載されているが,この到達法は筆者の行っている方法と基本的には同じであり,さらに加筆する事項は多くはないが,この術式について留意していることを述べてみたい。
膀胱腟瘻の成因は,産科的原因によるものと,婦人科的原因によるものに分けられ,従来より尿管腟瘻より発生率は少ないといわれていた。膀胱腟瘻にしても,また尿管腟瘻にしても成因のほとんどが医原性のものであるが,最近の産婦人科領域の治療法の進歩,発展のためか,膀胱腟瘻に関しては遭遇する機会が減ってきていると思う。しかし膀胱腟瘻症例に遭遇したならば,外科的手術の適応時期を決定しなければならない。原則として,手術適応の時期は,瘻孔発生後3〜6か月の期間をおいて,瘻孔周囲の浮腫と炎症性反応が消退してから行うようにしている。この待期期間をおくことは,患者の日常生活に支障をきたし,精神的苦痛をしいることになるので,患者ならびに家族から十分なインフォームド・コンセントを得る必要がある。このように待期することが治療の一環であることを,十分に説明し納得を得る必要がある。
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