増刊号特集 小児泌尿器科診療
治療の実際
神経因性膀胱
石堂 哲郎
1
1神奈川リハビリテーション病院泌尿器科
pp.148-152
発行日 1994年3月30日
Published Date 1994/3/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901172
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はじめに
小児神経因性膀胱の原因疾患としては,まず先天性の脳・脊髄疾患(二分脊椎,潜在性二分脊椎,仙骨欠損(形成不全),脊髄係留症候群など)が考えられる。これら先天性の疾患の場合,尿路の問題だけでなく,知能(水頭症),移動能力(下肢麻痺の問題),上肢の巧緻性の問題などあわせ持っていることが多く,これらが尿路の問題解決に大きな障害になることがあるので,先天性の疾患の尿路管理を非常に複雑なものにしている。その他,最近では交通事故などによる外傷性の神経因性膀胱(脊髄損傷)もみられるようになっている。
このような患児については泌尿器科(排尿の問題)だけではなく,整形外科,リハビリテーション医学科,小児科,脳神経外科など臨床各科やケースワーカー,臨床心理などコ・メディカル部門とも連携して管理していかなければならない。さらに患児についての問題以上に,患児の家族(特に両親)に対する教育,授助,相談なども重要である。このような患児の治療にとっては両親,家族,教育機関などの長期にわたる協力が必要であることは言うまでもない。
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