小さな工夫
前立腺生検針の一工夫—より精度の高い超音波ガイド下生検のために
頴川 晋
1
,
川上 達央
1
1北里大学泌尿器科学教室
pp.886
発行日 1993年10月20日
Published Date 1993/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1413901057
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超音波ガイド下生検術は今や前立腺を初めとした諸臓器の組織採取には,欠くことのできない重要な手技となっている。経直腸的な超音波ガイドにより前立腺生検を行う際に,生検針は前立腺に対して斜めに刺入され組織の抵抗を受ける。このためモニター上に表示されるガイド線に対して,針の進行方向が直腸側にそれてしまうことをよく経験する。特定部位の正確な組織採取のためには,組織による反跳が極力少なく,生検針の進行方向とガイド線とが可能な限り一致することが望ましい。筆者らは生検針の直進性を向上させるために.従来の針の内筒先端の両面を鋭的にカットする新たな加工を試みた(図1B矢印)。リンゴを用いた検討では,加工針内筒の直進性は従来の生検針よりも優れていた(図2b)。採取された組織の挫滅は他社の生検針と同等であった。超音波ガイド下生検術の導入は組織採取を容易にしたが。今回われわれの試みた小さな工夫・改良により,なお一層,信頼性の高い生検術が可能になるものと思われる。現在われわれは,この新しい生検針を用いて超音波ガイド下前立腺生検術を行っている。
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