特集 日常検査法—基礎と要点
部門別の基礎技術
Ⅵ.病理学
針生検
川井 一男
1
1国立大阪病院研究検査部
pp.1319-1323
発行日 1970年12月1日
Published Date 1970/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542907008
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はじめに
人体の病変部から適切な組織片が採取されて,はじめて確実な病理組織学的診断(組織診)が可能になることはいうまでもない.組織を採取する部位が体表にあるか,体表から近い場合には,比較的小さい手術によって組織診材料を得ることができるが,体表から隔たった部位にある内臓器官から組織診の検体を採るには,かなり大きい手術によってはじめて目的が達しられ,手軽に行なえないことが少なくない.これに対して,比較的小さい処置で深部の組織を採取するために開発されたものが針生検(needle biopsy)である.
深部の組織内へ穿刺針を挿入して検査材料を採ることは,かなり以前から行なわれてきた.太めの針さえ使えば,一般の穿刺材料からも小組織片が得られることもある.たとえば,血液疾患の診断のために行なう骨髄穿刺に際して,穿刺材料の病理組織学的検索を実施できる場合などである.しかし,針生検において,実質臓器からかなりの大きさの組織片を得て組織診を行なうようになったのは,Silvermanの二叉針による肝の針生検が普及して以後のことである.
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